茶の湯とは心に伝え目に伝え耳に伝えて一筆もなし

千利休の孫、宗旦の言葉に「茶の湯とは心に伝え目に伝え耳に伝えて一筆もなし」というものがある。手順が載った本を見て覚えるのではなく、先生から直接習い、人の点前を見て学ぶ。茶道の稽古は常にOJT(on-the-job training) であり、見よう見まねでどんどん吸収して自分のものにしていく。どんな道も素直な気持ちが上達の秘訣だと言われているように、あれこれ考えずに今していることに集中すればそれで良い。

覚えているなら稽古後にメモをとってもいいし、教本を読んでもいい。ただメモや教本があるから後からそれを見たらいいやと安心してはいけない。実際に本を見てみると、先生が指摘してくれるような仔細は載っていない。頭と心ををすっきりさせて稽古に臨むのが最も大事で、あれもこれもと欲張るのはいけない。

稽古はライブ、生だからいい。どの稽古もその時しか経験できない。このことをいつも心に留めていたい。


写真:六角堂の楓

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