芦屋市立美術博物館で開催中の『生誕220年 広重展-雨、雪、夜 風景版画の魅力をひもとく-』は、「東海道五拾三次」をはじめ148作品を鑑賞できる見応えたっぷりの展覧会だ。同時開催の『芦屋の歴史と文化財【平成29年度第2期】』にも広重と国貞の合作があるのでお見逃しなく。
「東海道五十三次」は日本橋から三条大橋の間にある53の宿場町を描いているが、起点と終点を合わせると55点になる。また、京都から大阪までの間には4つの宿場があるので、本当は「東海道五十七次」らしい。東海道五十七次は伏見、淀、枚方、守口が加わり、高麗橋が終着地となる。京阪電車では宿場町を巡る「水の路1dayチケット」を販売している。枚方の市立枚方宿鍵屋資料館に行ってみたい。
東海道五十七次の詳細はこちら http://www.okeihan.net/recommend/mizunomichi/
数ある作品の中で1番長く眺めて、これからもずっと忘れられないと思ったのは、隷書版「東海道 五十三次 藤沢」だ。夕闇の色に魅かれる。これから賑わう町の様子が描かれていて、昼間の宿場とは違った趣がある。広重お得意の留女が客引きに余念がない。強引な留女の傑作は「東海道五十三次之内 御油 旅人留女」をご覧いただきたい。手前の男の苦しそうな顔、笠を被った男は顔が見えず完全に拒絶しているようにも見える。おかしいような、気の毒なような。
芦屋市立美術博物館1階は撮影可能。広重の落ち着いた深い青が特徴的。
「東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景」部分
大名行列の大名たちの顔が見えないのが広重らしい。民衆の気持ちの表れか。
「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
雨といえば、広重。黒い雨雲から降る大雨と先を急ぐ人々の姿は、いつの時代も変わらない。広重は背中で物語るといわれている通り、人々の表情は見えないのになんだか気持ちが伝わってくる。
「双筆五拾三次 品川」広重・国貞
初摺りはピンクだったのでは?と書いてあった。これは葉書なのでピンク色が薄いけど、実際はもっと鮮やかなピンクで華やか。風景を広重が、女性たちを国貞が描いている。広重・国貞の合作が7点、広重・国芳・国貞の合作が4点展示されている。
「東海道五十三次 亀山 雪晴」
大名たちの笠がかすかに見え、朝日で空がうっすらピンク色に染まっている。
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